#01

手首からの
カテーテル治療
30年の進化の
その先へ

カテーテル治療に更なる
「やさしさ」を
TRIの普及と発展を見つめて

心臓や下肢の血管の病気を、カテーテルという細い管を用いて治療する「血管内カテーテル治療」は、患者さんの身体的負担が少ない治療として、現在では広く行われるものになっています。その一方で、カテーテル治療は、現在進行形で改良改善が行われている領域でもあります。患者さんにとって、より「やさしい治療」を実現するために、治療手技の進歩とともに、医療機器の技術も発展し続けています。

血管内カテーテル治療は、シースという細い管を皮膚を通して血管に刺して、血管にカテーテルを挿入するための入り口を作ることから始まります。以前は太腿の付け根の血管(大腿動脈)からの挿入が主流でしたが、最近では手首の血管(橈骨動脈:とうこつどうみゃく)から行う経橈骨動脈インターベンション(Trans Radial Intervention : TRI)が広く普及しています。

この方法は大腿部からの手技と異なり、止血の時間が短く、合併症のリスクが少なく、治療直後から歩くことができる場合もあり、患者さんにやさしい治療です。また、患者さんのQOL向上だけではなく、早期回復による日帰り治療も可能で、医療費の削減と治療効果の両立ができることでも注目されています。

TRIは、世界的に著名なオランダの医師フェルディナンド・キムニー医師によって1992年に初めて実施されました。手首の血管は細く、習熟した手技が求められることから、キムニー医師が中心となり10年以上にわたる各地での手技の進化と教育が行われ、その手技は世界に広がっています。

活動の根底にあったのは「患者さんへの想い」でした。「TRIの恩恵を受けるのは患者さんだと確信していた」、とキムニー医師は語っています。テルモは医療機器メーカーとしてユニークな技術開発を通じ、患者さんにやさしい治療を医師と一緒になって普及に努めています。

TRI開始当時、手技を行うフェルディナンド・キムニー医師

TRIの普及当初にテルモが行っていたキャンペーン”TRY the TRI”のロゴ

アクセスデバイスの最適化で
より多くの患者さんにTRIの選択肢を

テルモは、1985年に発売したガイドワイヤーをはじめ、シースやガイディングカテーテルなど、カテーテル治療の際に血管への挿入部から病変部までの道筋を作る「アクセスデバイス」の領域に注力し、患者さんにやさしいTRIに適した製品ラインアップを充実させてきました。今ではこの領域でトップシェアを占めています。

しかし、橈骨動脈は細く、これまでのシースの太さ(外径)では血管の細い患者さんには入らなかったり、無理に挿入して血管を傷つけた結果、血管を閉塞させてしまう合併症が顕在化してきました。シースの外径を細くしながらも、より治療しやすいカテーテルを使えるようにできないだろうか?ここから新たなシースの開発が始まりました。治療しやすい従来のカテーテルが通せる内径(シース内側の大きさ)と、細い血管に入れることができる太さ(外径)という、相反する課題を解決するために、シースの厚みを可能な限り薄くすることに挑戦しました。肉薄仕様がゆえに折れやすいなど量産化に多くの苦難を経験しましたが、2013年ついにTRI用肉薄シースを誕生させることができ、現在ではTRIの現場で広く用いられています。

TRI後の止血に更なる安全・安心を
患者さんの早期復帰をサポート

TRIを実施した後の確実かつ効率的な止血は、この手技の利点である患者さんの日常生活への早期復帰と、医療現場の負担軽減のために非常に重要です。しかし、止血がしやすいTRIとはいえ、橈骨動脈の止血は、血液検査や献血のように静脈から採血した後の止血とは全く異なる難しさがあり、手技を行う上での課題となっていました。

手首には様々な神経があります。TRIの普及当初は、カテーテルを挿入した後の穿刺部分に綿球を押し当て手首に包帯を強く巻く止血方法が一般的でしたが、この方法はこれらの神経まで圧迫してしまい、患者さんがしびれや痛みを感じることがありました。また一方で、締め付ける力が弱いと止血が不十分で血液が漏れ出すような事象も報告されていました。

穿刺した部分が見えること、血管を確実に圧迫できること、空気で圧迫圧を調節できること、医療現場の声を取り入れながら、テルモ独自の橈骨動脈止血デバイスが生まれました。

TRIの新たな取り組み
Radial to Peripheral

TRIが広く受け入れられてきた現在、「やさしい治療」として血管内カテーテル治療は心臓のみならず、下肢動脈や脳血管にも拡がっています。現在テルモでは、手首から行う下肢動脈の血管内治療に関わる一連のデバイスの開発にも注力しています。これまでの技術を活かしたアクセスデバイスや治療デバイスを、新たなアプローチに合わせて進化させることで、さらに患者さんにとってやさしい治療、QOL向上の実現に向けて取り組んでいきます。

関連する記事

T
O
P